新曲「氷水」(~音楽と生活音の中間)
2023_02_02
氷水の音で「氷水」という曲を作りました。
実際は、サラダボウルとグラスに入った氷水、竹ささら、陶器のかけらの装飾品、木製の鍋敷き、
チャイポッド(フタの開閉)、アイストレーに入った氷、ミニすり鉢などの音を使いました。
全て生活道具の音です。
生活道具は、定量化・標準化された楽器とは違い、音が整理されていません。
ですが、その音の不安定さから来る良さ、豊かさというのもあります。
それらを活かすには、音を整理(制御)し過ぎず、補正を加える様な適度な加減が必要です。
僕の場合は、音出しとオーディオ編集が対等にあり、そのため演奏を聴いてるのか
編集による生活音の寄せ集めを聴いてるのか、どちらか曖昧で良く分からなかったりします。
どちらにも程良い加減を掛けています。
演奏かなと思っても、氷水の入ったサラダボウルをかき混ぜているだけだったりして。
「音楽と生活音の中間」をイメージして作っているので、そういった錯覚があると思います。
で、普段良く耳にする音なので一聴した印象は地味なのですが、「なんか変だぞ???」と。
制作時(録音時)はノイズが入らない様に暖房を止めていたので、そのせいか本当に寒々とした曲になりました。
ガタガタ震えて手ブレを起こす様な感覚とでも言うか。
後半のカチッ、コチッ、キューッっと鳴る氷の音が推しです。
バサバサ鳴っているのは竹ささらの音で、すり鉢やコンクリートの地面に当てて適当に鳴らしたのですが
意図せず尋常じゃ無い寒さを表す心情みたいな、気持ちが煽られる様な効果が出ました。
試聴のSoundcloudの圧縮ファイルの音だと、音の芯がぼやけてタイトさが無くなってしまうので
早く皆さんの元にクリアな音を届けられる様、アルバム制作頑張ります。
saeagusa

氷水の音で「氷水」という曲を作りました。
実際は、サラダボウルとグラスに入った氷水、竹ささら、陶器のかけらの装飾品、木製の鍋敷き、
チャイポッド(フタの開閉)、アイストレーに入った氷、ミニすり鉢などの音を使いました。
全て生活道具の音です。
生活道具は、定量化・標準化された楽器とは違い、音が整理されていません。
ですが、その音の不安定さから来る良さ、豊かさというのもあります。
それらを活かすには、音を整理(制御)し過ぎず、補正を加える様な適度な加減が必要です。
僕の場合は、音出しとオーディオ編集が対等にあり、そのため演奏を聴いてるのか
編集による生活音の寄せ集めを聴いてるのか、どちらか曖昧で良く分からなかったりします。
どちらにも程良い加減を掛けています。
演奏かなと思っても、氷水の入ったサラダボウルをかき混ぜているだけだったりして。
「音楽と生活音の中間」をイメージして作っているので、そういった錯覚があると思います。
で、普段良く耳にする音なので一聴した印象は地味なのですが、「なんか変だぞ???」と。
制作時(録音時)はノイズが入らない様に暖房を止めていたので、そのせいか本当に寒々とした曲になりました。
ガタガタ震えて手ブレを起こす様な感覚とでも言うか。
後半のカチッ、コチッ、キューッっと鳴る氷の音が推しです。
バサバサ鳴っているのは竹ささらの音で、すり鉢やコンクリートの地面に当てて適当に鳴らしたのですが
意図せず尋常じゃ無い寒さを表す心情みたいな、気持ちが煽られる様な効果が出ました。
試聴のSoundcloudの圧縮ファイルの音だと、音の芯がぼやけてタイトさが無くなってしまうので
早く皆さんの元にクリアな音を届けられる様、アルバム制作頑張ります。
saeagusa


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新曲「波音」
2022_11_26
江ノ島に行った時の波の音で「波音」という曲を作りました。
岬と磯を歩いて、良かったポイント3か所で録音したものを編集した曲です。
録音日はそれほど波は高くない日だったのですが、オンで録ったら迫力のある音だったので
そのままアグレッシブな感じの曲に仕上げました。
波とは一見合わなそうな信号音の様な電子音を混ぜて対比させてみました。
釣り人に交じって録音していたのですが、女性一人で来ている釣り人もいてカッコ良かったです。
潮の満ち引きでも音が変わるので、何度か通わないとその場所の音を把握しきれないかもしれません。
とにかく歩き回って好きなポイントをチェックし、マイクの距離や角度を探ります。
フィールドレコーディングして持ち帰った波の音を聴くだけでも癒されるのですが
2chステレオに変換した音を家で実際に現場で聴いた時と同じ様な気持ちで
聴くかというと、なかなか普段聴こうとは思いません。
それを聴くなら旅行や散歩に行って、実際の音を聴きたくなります。
やはり全くの別物ですから。
それならば、少し手を加えてリスニングとしての面白味を出せないかと考えています。
とは言え、波はあまり規則性が無いので、どう入って行けば(管理すれば)良いのかが難しいところです。
僕の場合は、波の音を数秒間に区切って、それに合わせながら「そう来たなら、こうする」と
自分の主張も交差させながら組み立てるという手法を取りました。
聴いていて規則性がある様な無い様な感じがするのは、そこだと思います。
本来、波には規則性は無いのですが、「あるような気もする」というところで意識を引っ掛ける事で
「リスニングとして成立するのでは?」という発想です。
また、受動的な部分と能動的な部分が交差する事で、なんとなく波を操っている様にも聞こえます。
サンプリングのMIDI打ちの発想で完全に制御しちゃうと、そうは感じないと思います。
ちなみにシンセのプルプルプルという信号音ですが、「プルプルで行くかプルプで止めるか」とか
「プルが幾つ並んで」とか、一応こだわっています(笑)
いずれにせよプログラミング制御ではなく、アナログ的な手業作業が主です。
相手が無秩序な波なので、こちらも自分の持っている意識と無意識を交差させて
許容しながら合わせて行くという「自分も(人間も)自然だ」という概念によるものです。
saegusa
江ノ島に行った時の波の音で「波音」という曲を作りました。
岬と磯を歩いて、良かったポイント3か所で録音したものを編集した曲です。
録音日はそれほど波は高くない日だったのですが、オンで録ったら迫力のある音だったので
そのままアグレッシブな感じの曲に仕上げました。
波とは一見合わなそうな信号音の様な電子音を混ぜて対比させてみました。
釣り人に交じって録音していたのですが、女性一人で来ている釣り人もいてカッコ良かったです。
潮の満ち引きでも音が変わるので、何度か通わないとその場所の音を把握しきれないかもしれません。
とにかく歩き回って好きなポイントをチェックし、マイクの距離や角度を探ります。
フィールドレコーディングして持ち帰った波の音を聴くだけでも癒されるのですが
2chステレオに変換した音を家で実際に現場で聴いた時と同じ様な気持ちで
聴くかというと、なかなか普段聴こうとは思いません。
それを聴くなら旅行や散歩に行って、実際の音を聴きたくなります。
やはり全くの別物ですから。
それならば、少し手を加えてリスニングとしての面白味を出せないかと考えています。
とは言え、波はあまり規則性が無いので、どう入って行けば(管理すれば)良いのかが難しいところです。
僕の場合は、波の音を数秒間に区切って、それに合わせながら「そう来たなら、こうする」と
自分の主張も交差させながら組み立てるという手法を取りました。
聴いていて規則性がある様な無い様な感じがするのは、そこだと思います。
本来、波には規則性は無いのですが、「あるような気もする」というところで意識を引っ掛ける事で
「リスニングとして成立するのでは?」という発想です。
また、受動的な部分と能動的な部分が交差する事で、なんとなく波を操っている様にも聞こえます。
サンプリングのMIDI打ちの発想で完全に制御しちゃうと、そうは感じないと思います。
ちなみにシンセのプルプルプルという信号音ですが、「プルプルで行くかプルプで止めるか」とか
「プルが幾つ並んで」とか、一応こだわっています(笑)
いずれにせよプログラミング制御ではなく、アナログ的な手業作業が主です。
相手が無秩序な波なので、こちらも自分の持っている意識と無意識を交差させて
許容しながら合わせて行くという「自分も(人間も)自然だ」という概念によるものです。
saegusa
新曲「ピアノ線」
2022_09_30
「ピアノ線」という曲を作りました。
その名の通り、木の板に釘を打ってピアノ線を2本張り
弾いたり、物を擦りつけたりして音を出したものです。
ピアノ線の録音トラックを重ねて行くうちに音がゴチャゴチャとして来たので
シンプルなシンセ音と合わせたり、エアーの音で間合いを取ったりして
その対比により作品としてまとめました。
エアーの音は、川崎の工場地帯で録音した音なのですが
工場地帯の音とは伝わらないかもしれません。
工場の巨大なファンを敷地外から録音したのですが、録れた音は普通でした。
その他、ピアノフレーズなども考えて合わせてみたのですが
イメージが散漫になるので、伝えたいトラックだけに絞って使用を止めました。
録音した使用トラックは、細切れにしズラしながら配置して行きます。
素材に比重を置いて、切り貼りの編集による制作は
以前からの僕の創作手法です。
部材の一つとして着目したピアノ線ですが、録音して行くうちに
ピアノ線をいじる音はどこかで聞いたことがある様な記憶が自分の中にありました。
「手を近づけると危ない」とか「細くもゴワゴワ堅い感じ」とか
ちょっと危険でゾクッとするイメージがありつつも
改めて音そのものを鑑賞してみると、特に嫌いな音でもないのかなと。
面白い音を使った面白い作品になったと思います。
Soundcloudでの試聴は、オーディオ圧縮によりキメの無い音になっていますが
いずれまたアルバムとしてまとめて良い音で発表するつもりです。
最近、雅楽や能楽囃子など日本の伝統音楽を好んで聴くことが多いのですが
「音の個性」「間合い」などが大きく音楽に影響していると思います。
自分も「音の個性」に関しては「素材の選択」「音の鳴らし方」「音の調整」など
「間合い」に関しては「時間を等分化せずグリッドを外し、タイムコード表示にして
時間を更新して行く」など、それらと同じ様な事が出来ないかと日々試みています。
まあ、もっと言えば今は8割方音楽じゃなくて、環境音を意識的に聴く様になってしまっていて。
当然「良いもの」も変化して行ってるので、それが素材・部材の着目に繋がり
作品にも表われて行ってると思います。
saegusa
「ピアノ線」という曲を作りました。
その名の通り、木の板に釘を打ってピアノ線を2本張り
弾いたり、物を擦りつけたりして音を出したものです。
ピアノ線の録音トラックを重ねて行くうちに音がゴチャゴチャとして来たので
シンプルなシンセ音と合わせたり、エアーの音で間合いを取ったりして
その対比により作品としてまとめました。
エアーの音は、川崎の工場地帯で録音した音なのですが
工場地帯の音とは伝わらないかもしれません。
工場の巨大なファンを敷地外から録音したのですが、録れた音は普通でした。
その他、ピアノフレーズなども考えて合わせてみたのですが
イメージが散漫になるので、伝えたいトラックだけに絞って使用を止めました。
録音した使用トラックは、細切れにしズラしながら配置して行きます。
素材に比重を置いて、切り貼りの編集による制作は
以前からの僕の創作手法です。
部材の一つとして着目したピアノ線ですが、録音して行くうちに
ピアノ線をいじる音はどこかで聞いたことがある様な記憶が自分の中にありました。
「手を近づけると危ない」とか「細くもゴワゴワ堅い感じ」とか
ちょっと危険でゾクッとするイメージがありつつも
改めて音そのものを鑑賞してみると、特に嫌いな音でもないのかなと。
面白い音を使った面白い作品になったと思います。
Soundcloudでの試聴は、オーディオ圧縮によりキメの無い音になっていますが
いずれまたアルバムとしてまとめて良い音で発表するつもりです。
最近、雅楽や能楽囃子など日本の伝統音楽を好んで聴くことが多いのですが
「音の個性」「間合い」などが大きく音楽に影響していると思います。
自分も「音の個性」に関しては「素材の選択」「音の鳴らし方」「音の調整」など
「間合い」に関しては「時間を等分化せずグリッドを外し、タイムコード表示にして
時間を更新して行く」など、それらと同じ様な事が出来ないかと日々試みています。
まあ、もっと言えば今は8割方音楽じゃなくて、環境音を意識的に聴く様になってしまっていて。
当然「良いもの」も変化して行ってるので、それが素材・部材の着目に繋がり
作品にも表われて行ってると思います。
saegusa
新曲「気圧」
2022_07_25
前回の「鉄塔」と同様に、今回も部材や工具など使用して曲を作りました。
前回、「全体設計図や数学的アルゴリズムを設定せず、相互の関係性から
条件の連続性によって形作られて行く様な曲を作りたかった」という内容の曲解説を書いたのですが
もう一つここ数年で自分の中で大きく変わった事があります。
それは「DAWの使い方」です。
意識で掌握できる音には限りがあります。
例えば「川の音、壊れたエアコンの室外機の音が心地良いのだけど
どこがどう良いのか意識で拾いきれない(解読できない)」といった事があります。
そこには「川のここに強い流れと大きい石がある」とか「室外機がこんな壊れ方をした」とか
偶然(自然)が作り出した制御が存在します。
人工的にそれを自分で一から作る事は不可能かもしれませんが
手入れをする様な意識による制御だったら可能です。
オーディオ編集によってそういった事をして行くうちに「DAWの使い方」が
頭の中で描いた「意識の再現性」から「意識外からの抽出」のためのツールに変わって来ました。
よって作品も意識と無意識の混在状態の様なものに向かっていると思います。
自分でもそこに理想がある様な気がしています。
今回は、部材や工具の音に加え、山梨の渓谷や最寄り駅の自転車置き場などで
フィールドレコーディングした音を使っています。
部材や工具には音の出し方に決まりが無いので、今回は「擦りつける」とか「引きずる」とか
楽器ではあまり無さそうな音の出し方を考えてみました。
価値があるとされている物や約束事を捨て、そこでどれだけのマジックを起こせるかみたいな事は
誰にでも出来る実験だと思います。
「そんな合理的でないことはやってはいけない」みたいな思い込みが
楽しみや新しい価値観を阻害しているのではないでしょうか。
saegusa
前回の「鉄塔」と同様に、今回も部材や工具など使用して曲を作りました。
前回、「全体設計図や数学的アルゴリズムを設定せず、相互の関係性から
条件の連続性によって形作られて行く様な曲を作りたかった」という内容の曲解説を書いたのですが
もう一つここ数年で自分の中で大きく変わった事があります。
それは「DAWの使い方」です。
意識で掌握できる音には限りがあります。
例えば「川の音、壊れたエアコンの室外機の音が心地良いのだけど
どこがどう良いのか意識で拾いきれない(解読できない)」といった事があります。
そこには「川のここに強い流れと大きい石がある」とか「室外機がこんな壊れ方をした」とか
偶然(自然)が作り出した制御が存在します。
人工的にそれを自分で一から作る事は不可能かもしれませんが
手入れをする様な意識による制御だったら可能です。
オーディオ編集によってそういった事をして行くうちに「DAWの使い方」が
頭の中で描いた「意識の再現性」から「意識外からの抽出」のためのツールに変わって来ました。
よって作品も意識と無意識の混在状態の様なものに向かっていると思います。
自分でもそこに理想がある様な気がしています。
今回は、部材や工具の音に加え、山梨の渓谷や最寄り駅の自転車置き場などで
フィールドレコーディングした音を使っています。
部材や工具には音の出し方に決まりが無いので、今回は「擦りつける」とか「引きずる」とか
楽器ではあまり無さそうな音の出し方を考えてみました。
価値があるとされている物や約束事を捨て、そこでどれだけのマジックを起こせるかみたいな事は
誰にでも出来る実験だと思います。
「そんな合理的でないことはやってはいけない」みたいな思い込みが
楽しみや新しい価値観を阻害しているのではないでしょうか。
saegusa
新曲「鉄塔」
2022_05_29
4枚目へのアルバム制作は、まだスタートしたばかりですが
次はどうしようかと日々試行錯誤しています。
「黒電話」に続き、「鉄塔」という曲を作りました。
ホームセンターや中古工具屋で購入した部材が溜まったので
今までの制作方法を応用して、作ってみました。
①音源を選択し、鳴らし方を考える。
②1~2分の演奏を録音し、DAWの同じ時間軸上にトラックを並べて行く。
③トラック同士の音色の相性を見て、使うトラックを選択する。
④トラック同士の間合いのタイミングを切り貼りしながら合わせる。
⑤アレンジや展開を追加して、曲を広げて行く。
といったプロセスです。
スゴク変わった作り方だと思います。
「AUDIO ARCHITECTURE」的な全体設計図、数学的なアルゴリズムを設定していません。
自然で言うとイワシの群れ(衝突回避、整列、結合)とか、鳥のV字飛行(衝突回避、視界確認、
エネルギー節約)とか、「目的」や「回避」の様な条件の連続により、結果として
相互の関係性から形作られるものが出来ればと考えています。
何が出来るかわからないので、商業音楽の制作方法には不向きですが
表現するという意味では効率的で、思ってる事(自分の思考パターン)がそのまま形になります。
最初に、メガネレンチをカラカラ鳴らした音と、鉄ブラシを鳴らした音をエフェクトしたビリビリ電気音
みたいな音の組み合わせが面白いなと。
そこで「鉄塔の様なイメージにしよう」と思い付き、うっすら風の音を足したり、工具の音を追加したり。
無機質で流れを止めるようなピアノとベースアレンジも加え、何となく鉄塔を連想出来るかなと。
楽器でなく部材を音源にしていることに関しては、決して奇抜なことをやろうとしているのではなく
フィールドレコーディングに興味を持ったと同時に、徐々に興味が行ったという感じです。
環境音を音楽の様に感じてる人は多いと思いますが、環境を積極的に音に変えてる人は少ないと思います。
「使い古された凡庸な事をするのは野暮、でも新しい事をすると、皆どこがどう凄いのかわからない」と
言われていますが、「何かこれ変だな?」とその作品に何か引っかかるところがあればいいのかなと思います。
何だかわからない(けど惹かれる)ものを肯定して、解析するという面白味が
音楽鑑賞の醍醐味ではないでしょうか。
saegusa
4枚目へのアルバム制作は、まだスタートしたばかりですが
次はどうしようかと日々試行錯誤しています。
「黒電話」に続き、「鉄塔」という曲を作りました。
ホームセンターや中古工具屋で購入した部材が溜まったので
今までの制作方法を応用して、作ってみました。
①音源を選択し、鳴らし方を考える。
②1~2分の演奏を録音し、DAWの同じ時間軸上にトラックを並べて行く。
③トラック同士の音色の相性を見て、使うトラックを選択する。
④トラック同士の間合いのタイミングを切り貼りしながら合わせる。
⑤アレンジや展開を追加して、曲を広げて行く。
といったプロセスです。
スゴク変わった作り方だと思います。
「AUDIO ARCHITECTURE」的な全体設計図、数学的なアルゴリズムを設定していません。
自然で言うとイワシの群れ(衝突回避、整列、結合)とか、鳥のV字飛行(衝突回避、視界確認、
エネルギー節約)とか、「目的」や「回避」の様な条件の連続により、結果として
相互の関係性から形作られるものが出来ればと考えています。
何が出来るかわからないので、商業音楽の制作方法には不向きですが
表現するという意味では効率的で、思ってる事(自分の思考パターン)がそのまま形になります。
最初に、メガネレンチをカラカラ鳴らした音と、鉄ブラシを鳴らした音をエフェクトしたビリビリ電気音
みたいな音の組み合わせが面白いなと。
そこで「鉄塔の様なイメージにしよう」と思い付き、うっすら風の音を足したり、工具の音を追加したり。
無機質で流れを止めるようなピアノとベースアレンジも加え、何となく鉄塔を連想出来るかなと。
楽器でなく部材を音源にしていることに関しては、決して奇抜なことをやろうとしているのではなく
フィールドレコーディングに興味を持ったと同時に、徐々に興味が行ったという感じです。
環境音を音楽の様に感じてる人は多いと思いますが、環境を積極的に音に変えてる人は少ないと思います。
「使い古された凡庸な事をするのは野暮、でも新しい事をすると、皆どこがどう凄いのかわからない」と
言われていますが、「何かこれ変だな?」とその作品に何か引っかかるところがあればいいのかなと思います。
何だかわからない(けど惹かれる)ものを肯定して、解析するという面白味が
音楽鑑賞の醍醐味ではないでしょうか。
saegusa